ベトナム統計局が公表した2026年上半期(1〜6月)の貿易統計によると、同国の財の貿易収支は166.5億ドルの赤字(入超)となり、約10年続いた通年黒字の基調から入超に転じました。輸入の伸びが輸出を大きく上回ったことが背景です。
上半期の輸出入の実績
ベトナム統計局(Cục Thống kê)によると、2026年上半期の財の輸出入総額は5,496.9億ドルで、前年同期比+27.1%となりました。内訳は、輸出が2,665.2億ドル(前年同期比+21.0%)、輸入が2,831.7億ドル(同+33.4%)です。輸入の伸び率が輸出を10ポイント以上上回り、財の貿易収支は166.5億ドルの赤字となりました。
「入超(ベトナム語で nhập siêu)」は、一定期間の輸入額が輸出額を上回る状態を指す表現です。上半期の入超額は、1〜5月時点の138.1億ドルからさらに拡大しました。
黒字基調から入超への転換
ベトナムの財の貿易収支は、2016年から2025年まで約10年にわたり通年で黒字を続けてきました。前年(2025年)の同期も黒字だったため、今回の上半期の入超は基調の転換にあたります。
統計・報道各社は、この入超の主因を、企業が生産用の機械・設備や原材料といった生産財の輸入を積み増したことに求めています。輸入額の大部分は消費財ではなく生産のための投入財が占めており、製造業の活動拡大に伴う輸入増という構図が示されています。同時に公表された上半期のGDPが前年同期比+8.18%成長した点と合わせ、旺盛な国内生産・投資活動を映した数字といえます。
主要な相手先市場
相手先別では、上半期の輸出先として最大だったのは米国で、輸出額は865億ドルでした。輸入先として最大だったのは中国で、輸入額は1,152億ドルでした。輸出は米国など先進国市場向け、輸入は中国からの生産財という構図が、貿易収支の動きの背景にあります。ベトナムは2026年9月からFTSE Russellによる新興国市場への段階的な指数組入れを控えており、マクロ指標の推移は市場の注目材料となっています。