ベトナム政府は不動産事業法(Luật Kinh doanh bất động sản)の改正案を国会に提出し、2026年8月の非常会期で初回審議、10月の通常会期での可決を目指しています。改正案は行政手続きの大幅な簡素化とプロジェクト譲渡の承認権限の地方移譲を柱としており、不動産セクターの制度整備として市場の関心を集めています。
譲渡承認権限を首相から省人民委員会へ移譲
VnEconomyによると、2026年7月29日に開かれた国会常務委員会の第4回本会議で、政府提出の不動産事業法改正案が審査されました。改正案は、不動産事業プロジェクトの全部または一部を譲渡する際の承認権限を、現行の首相から省人民委員会へ移譲する方向を示しています。あわせて、各不動産商品に唯一のデジタル識別コードを付与し、プロジェクトの法的地位・都市計画・担保状況・取引履歴を統合したデータベースを構築する方針も盛り込まれました。頭金(đặt cọc)に関する仕組みも整備し、恣意的な解約などを防ぐことが検討されています。
審査を担った経済財務委員会のPhan Văn Mãi委員長は改正の必要性に賛同しつつ、宿泊用住宅や観光コンドミニアムなど新たに対象へ加える商品の範囲の精査と、土地法・住宅法・金融機関法との整合確保を求めました。Trần Thanh Mẫn国会議長は、改正の基本姿勢を「『厳格化』でも『緩和』でもなく、透明性があり、安定し、予測可能性の高い法的枠組みの構築」だと述べています。
手続き190日を72日へ、条文も22条削減
Vietstockが8月6日に報じた改正案の内容によると、条文は現行から22条減って10章61条に整理されます。投資・経営条件は31のうち9を削減し、行政手続きは12のうち5を廃止・7を簡素化する方針です。これにより、一連の処理期間は現行の約190日から72日へと短縮される見込みだと説明されています。企業側からは、Sun Groupが実務上問題の生じていない一部の通知手続きの廃止を、Viglaceraが銀行保証要件の緩和と管理機関の回答期限の明確化をそれぞれ求めるなど、手続きのさらなる合理化を求める意見が出ています。
土地法改正と歩調を合わせた法体系の整備
今回の不動産事業法改正は、2024年土地法の改正や住宅法の改正と歩調を合わせて進められています。政府は関連する複数の法律を同時に見直し、法体系全体の整合性を確保する方針を示しています。国会は8月の非常会期でこれらの改正案について初回の意見聴取を行い、10月の通常会期での可決を予定しています。「不動産事業法」は、不動産の売買・賃貸やプロジェクト譲渡など不動産事業の要件を定めるベトナムの基本法です。なお、上記の内容はいずれも審査段階の提案・方針であり、条文の最終的な内容や施行時期は今後の国会審議と正式な決定で確定します。