【在住者向け】SSI証券で現地口座を開く方法

ベトナム在住の日本人がベトナム株を始める場合、税務上は日本の「非居住者」に該当することが多く、日本の証券会社を従来どおり利用できなくなるケースがあります。そのため、現地のベトナム証券会社で口座を開く選択肢が現実的な入口になります。本記事では、ベトナム最大手の一つであるSSI証券(SSI Securities Corporation)で現地口座を開設する全体像を、公式情報ベースで整理しました。本記事では特定銘柄の売買判断や予測は扱いません。

この記事の対象読者

本記事は、ベトナムに在住している日本人で、現地の証券会社で口座を開きたいと考えている方を主な対象としています。具体的には次のような方を想定しています。

  • すでにベトナムで就労ビザ・居住許可を取得している日本人
  • 日本の証券会社経由ではなく、現地証券会社で直接ベトナム株を取引したい方
  • 口座開設前に「何が必要で、どの程度の手間がかかるのか」を一通り把握しておきたい方

日本在住の方(日本の居住者)には、SBI証券・アイザワ証券など日本の証券会社経由でベトナム株を扱う別ルートがあります。本記事の手続きは、現地居住をベースに進める内容です。

SSI証券の概要

SSI Securities Corporation(以下、SSI証券)は、本社をホーチミン市1区(72 Nguyen Hue, Sai Gon Ward, Ho Chi Minh City)に置くベトナムの証券会社です(出典:SSI公式英語サイト、2026年6月時点)。

SSI公式サイトによれば、同社は以下の事業ラインを持つ総合型の証券会社として位置付けられています(出典:SSI Securities Corporation 公式トップ(英語)、2026年6月時点)。

  • 個人向け証券ブローカレッジ(株式、デリバティブ、カバードワラント、ファンド販売)
  • 機関投資家向けブローカレッジ
  • SSIアセットマネジメント(オープンエンド型ファンド、ETF、私募運用)
  • 投資銀行業務(ECM、DCM、M&A、コーポレートファイナンス・アドバイザリー)
  • トレジャリー業務

英語版サイト(https://www.ssi.com.vn/en)が公開されており、個人向けに「iBoard Web」「iBoard Pro」といった取引プラットフォームを提供しています(出典:SSI公式英語サイト、2026年6月時点)。

本記事は「口座開設の枠組みを把握する」ことを目的としており、SSI証券そのものや特定の取扱商品を推奨するものではありません。複数の現地証券会社(SSI、Sacombank Securities、VPS、VNDirectなど)を比較したうえで、ご自身の状況に合うところを選ぶことをおすすめします。

ベトナム株を取引するときに関係する公的な仕組み

実際の口座開設手順に入る前に、ベトナム株を取引する際に必ず関わる公的な仕組みを押さえておくと、各書類の意味が分かりやすくなります。

外国人投資家のための証券取引コード(Securities Trading Code)

ベトナム証券保管・決済機関(Vietnam Securities Depository and Clearing Corporation、以下VSDC)は、外国人投資家向けの「Securities Trading Code」を発行しています。VSDC公式サイトには次のように記載されています(出典:VSDC公式英語サイト、2026年6月時点)。

“Foreign investors (both institutional and individual ones) shall apply for securities trading codes with VSDC when investing in Vietnam Securities Market.”

つまり、外国人個人がベトナム株を取引するには、VSDCから付与される証券取引コードが前提条件となります。実務上は、口座を開設するSSIなどの証券会社を通じて代理申請してもらうケースが一般的とされていますが、正確な手続きは時期や規制改正により変わるため、最新の運用は申込先の証券会社に確認してください。

投資用の銀行口座

ベトナムでは、外国人投資家の証券取引にあたって、現地銀行で投資用の銀行口座を持つ運用が一般的です。代表的な銀行としてBIDV(Bank for Investment and Development of Vietnam)、Vietcombankなどが挙げられます。本記事の取得時点では、各行の外国人向け口座開設の細則について公式英語ページから網羅的に確認できる情報が限られていたため、実際の必要書類は、利用する銀行の最新案内に従ってください。

SSI証券で口座を開設する大まかな流れ

ここからは、SSI証券で個人口座を開設する大まかな流れを、公式情報の範囲で整理します。手続きの細部はSSIの運用や規制改正により変わるため、最終的には公式の最新案内に従ってください。

ステップ1:事前準備

このステップでは、現地で必要となる本人確認書類と銀行口座の準備を行います。

ベトナム在住者の場合、一般的に次のようなものが基礎情報になります。

  • 有効なパスポート
  • ベトナムでの在留に関連する書類(ビザ、Temporary Residence Card など、居住状況に応じたもの)
  • 連絡先となる現地の電話番号・メールアドレス
  • 入出金に使う現地の銀行口座

このうち、現地の銀行口座は証券口座への入出金や配当受取に使うため、SSI口座開設と並行して準備しておくと、後の手続きがスムーズです。SSIのiBoard Webでは、入出金用として「同一名義の銀行口座を最大3口座まで登録できる」と公式案内されています(出典:SSI iBoard Web — Account Information and Service Registration、2026年6月時点)。

ステップ2:申込み

SSI公式の英語版「Open Account Instruction」ページによれば、SSIは個人向けにオンラインでの口座開設(eKYC)と、対面・取引窓口経由の2通りのルートを案内しています。外国籍の方向けには、特に次の窓口が公式に明示されています(出典:SSI Securities — Open Account Instruction、2026年6月時点)。

窓口所在地連絡先
Nguyen Van Cu Transaction Office(ホーチミン)8th floor, Royal Centre Building A, 235 Nguyen Van Cu St., Cu Trinh Ward, Dist.1, Ho Chi Minh City(+84) 28 3622 0123
Ngo Quyen Branch(ハノイ)1C Ngo Quyen Str., Hoan Kiem District, Ha Noi(024) 39366321 Ext: 153

公式ページには「Online account registration with eKYC」が利用できる旨も記載されていますが、外国籍の個人については、対面の取引窓口を案内する記述も見られます(出典:同上)。実際にどちらのルートを利用できるかは、申込時点のベトナム国籍/外国籍のステータスや在留書類によって運用が分かれる可能性があるため、申込前にSSIへ直接確認するのが確実です。

オンライン申込みであっても、外国人個人については書面の提出や追加の本人確認が求められるケースがあります。

ステップ3:本人確認

口座開設の本人確認は、公式案内によれば次のいずれかの形で行われます。

  • iBoardのオンライン申込みでは「eKYC」と呼ばれる電子的本人確認の手順
  • 取引窓口で対面で書類にサインする手順

公式ページ(SSI Securities — Open Account Instruction)からは、外国籍個人の本人確認方法の詳細(必要書類の正確な通数、ビデオ録画の有無、サインを必要とする書類の一覧)まではこの取得時点では確認できませんでした。最新の運用や、外国人居住者に特有の書類については、申込予定の窓口に直接ご確認ください。

実務的には、ベトナム証券市場で口座を開く場合、書類へのサイン作業がまとまった量になることが現地では一般的に語られています。ただし、その具体的な通数や、本人がサインしている様子をビデオで記録する手順の有無については、本記事の公式情報の範囲では特定できませんでした。

ステップ4:投資用の銀行口座と入金

証券口座と並行して、現地で投資用の銀行口座を持っておくと、入出金や配当の受け取りがスムーズです。SSIのiBoard Webでは、出金先などとして「同一名義の銀行口座を3口座まで登録できる」と公式に案内されています(出典:SSI iBoard Web — Account Information and Service Registration、2026年6月時点)。

具体的な銀行口座の開設要件(必要書類、最低残高、ビザ要件など)は銀行ごとに異なります。BIDVやVietcombankなど、本記事末尾の出典リストに含まれる各行の公式案内、もしくは最寄りの支店で最新情報を確認してください。

ステップ5:取引開始

証券口座と入金が整うと、SSIが提供するiBoard Web、iBoard Proなどのオンラインプラットフォームから注文を出せるようになります。iBoardからは、株式、デリバティブ、カバードワラント、ファンドなど、SSIが取り扱う各種商品の取引が公式に案内されています(出典:SSI Securities Corporation 公式トップ(英語)、2026年6月時点)。

注文を出す前に、対象市場(HOSE、HNX、UPCoM)の取引時間や注文の単元、手数料などを公式情報で確認しておくことをおすすめします。本記事では、本記事の出典範囲で確定できる数値だけを取り扱っています。

所要期間の目安

口座開設に要する期間は、本人確認の方法(オンラインか対面か)、外国人投資家としてVSDCの取引コードを取得するタイミング、銀行口座の準備状況などによって変動します。

本記事の公式出典の範囲では、所要日数の具体的な数字を公式案内から特定することができませんでした。事前に時間的余裕を確保したうえで進めること、SSIや銀行から提示される必要書類のリストを早めに揃えることが、結果として全体の手続きを短縮する近道です。

手数料・コストの考え方

SSIの公式手数料スケジュールには、株式・ファンド証書・カバードワラントについて以下の保管料(カストディフィー)が明示されています(出典:SSI Securities — Service Fees Schedule for Primary Securities Trading Account、2026年6月時点、上記スケジュールは2022年1月1日施行)。

項目内容
株式・ファンド証書・カバードワラントの保管料「VND 0.27/stock, fund certificate, covered warrant /month」
社債の保管料「VND 0.18/bond/month」、上限 VND 2,000,000/銘柄/月
国債の保管料「VND 0.14/bond/month」、上限 VND 1,400,000/銘柄/月
証券振替手数料1株あたり VND 0.3、下限 VND 50,000、上限 VND 300,000 / 取引

このスケジュール表自体には、株式売買時のコミッション率(%)はパーセンテージとしては明示されていません。実際の売買手数料については、申込時の最新の手数料表をSSIの担当者に確認するのが確実です。

参考までに、ベトナム財務当局がまとめている個人の証券関連の税金として、株式譲渡益への課税は「取引額に対し0.1%」、配当への課税は「利益に対し5%」とされています(出典:JETRO — ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。これは証券会社の手数料とは別に、ベトナム側で課される税金にあたります。

在住者ならではの留意点

最後に、ベトナム在住の日本人が現地証券口座を開くにあたって押さえておきたい一般的な論点を、公式情報の枠組みで整理します。本記事は税務・法務の個別アドバイスではない点をあらためてご了承ください。

日本の「居住者・非居住者」の区分

日本の国税庁は、海外に居住する個人について次のように整理しています(出典:国税庁タックスアンサー No.1920、2026年6月時点)。

“国外における在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除いて原則として、所得税法上の非居住者と推定されます”

つまり、ベトナムに1年以上の予定で居住する方は、日本の所得税法上「非居住者」に該当する可能性が高いという整理です。非居住者については、日本国内に源泉のある所得が一定の範囲で課税対象になるなど、居住者とは異なる扱いになります(出典:国税庁タックスアンサー No.1923、2026年6月時点)。

ご自身の居住者/非居住者の判定や、ベトナム株を現地で取引した場合の日本側の取扱いは、税理士や所轄の税務署にご確認ください。

ベトナム側の課税の枠組み

ベトナム側では、JETROの解説によれば、個人所得税は居住者と非居住者を区分し、滞在日数や恒久的居所などを基準に判定されます(出典:JETRO — ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。

「暦年のうち、ベトナム国内に183日以上滞在している者」、もしくは「契約期間が183日以上の賃貸住宅などを有する者」などは居住者と整理される

外国人投資家にも関わる代表的な税率の枠組みとして、JETROは次のように整理しています(出典:同上)。

  • 投資譲渡所得(資本譲渡益):利益に対し20%
  • 投資譲渡所得(証券譲渡益):取引額に対し0.1%
  • 投資所得(配当):利益に対し5%

これらは居住者・非居住者の別なく適用される枠組みとして整理されています。ただし、税制は改正される可能性があり、ご自身のケースの個別の取扱いは現地の会計事務所やベトナム税務総局(GDT)の最新情報をご確認ください。

日本の規制との関係

日本側の規制との関係で1点補足しておきます。金融庁は、無登録の海外業者が日本の居住者に対して投資勧誘を行うケースについて、長年にわたり注意喚起を行っています(出典:金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について、2026年6月時点)。

本記事は、ベトナム在住の方(=日本の非居住者に該当しうる方)が、ご自身でベトナムの証券会社の公式情報を確認し、現地で口座を開設する一般的な流れを整理したものであり、特定の業者の利用を勧誘するものではありません。日本に居住している方は、日本国内で登録を受けた証券会社経由でベトナム株を取引する方法を検討するのが基本となります。

よくある質問

在住者でなくても、SSIで口座を開けますか?

SSIは外国人投資家向けの受付窓口を公式に案内していますが、本記事は「ベトナム在住の日本人」を主な対象としています。日本在住の方の場合は、日本の証券会社(例:SBI証券、アイザワ証券)経由でベトナム株を取り扱うルートがあり、現地口座とは別の選択肢になります。ご自身の居住状況と目的に合うルートを、各社の公式情報で比較検討してください。

必要書類や所要期間の正確な情報はどこで確認できますか?

本記事は公式情報ベースで全体像を整理しましたが、外国人居住者の個別の必要書類(書類の通数や本人確認の細部、ビデオ録画の有無など)は、規制や運用の変更で更新される可能性があるため、申込予定のSSI窓口で最新情報を直接確認してください。SSI公式の窓口情報は「ステップ2:申込み」の章をご参照ください。

SSI以外の証券会社も検討できますか?

ベトナムには、SSIのほかにもSacombank Securities(SBSC)、VPS、VNDirectなど複数の証券会社があります。本記事ではSSIを取り上げましたが、特定の証券会社を推奨するものではありません。手数料、サポート言語、口座開設の利便性などを各社の公式情報で比較したうえで判断してください。本サイトでは今後、他社についても順次整理していく予定です。

関連記事

  • (今後追加予定)BIDV銀行で投資用銀行口座を開く方法
  • (今後追加予定)SBI証券のベトナム株サービスとアイザワ証券のベトナム株サービスの比較
  • (今後追加予定)ベトナム在住者の所得税の一般情報

ご注意

投資判断について

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容に基づき被ったいかなる損失についても、運営者は責任を負いかねます。

最新の制度・手数料・取引時間等は、必ず各社の公式サイトおよび関係当局の公式発表をご確認ください。

対象読者について

本記事はベトナム在住の日本人(日本における非居住者)を主な対象として執筆しています。日本在住の方(日本居住者)には、本記事で解説した手続きの一部が適用されない、または別の手続きが必要となる場合があります。ご自身の居住状況に応じた最新の取り扱いは、関係当局の公式情報をご確認ください。

口座開設手続きの最新性について

本記事に記載した必要書類・所要期間・手数料等は執筆時点(記事内の取得日参照)の情報です。証券会社・銀行の手続きは予告なく変更されることがあります。実際に手続きを進める前に、必ず以下をご確認ください。

  • 該当証券会社・銀行の公式サイトの最新情報
  • 在ベトナム日本国大使館または領事館の最新情報
  • 必要に応じて現地の窓口・カスタマーサポート

出典

本文中で参照した一次情報の取得時点はいずれも2026年6月12日です。

  1. SSI Securities Corporation 公式トップ(英語) — SSI証券の会社概要・サービス構成
  2. SSI Securities — Open Account Instruction(英語) — 個人向け口座開設の案内窓口
  3. SSI Securities — Service Fees Schedule for Primary Securities Trading Account — 保管料・振替手数料スケジュール
  4. SSI iBoard Web — Account Information and Service Registration — 銀行口座登録の運用
  5. Vietnam Securities Depository and Clearing Corporation(VSDC)公式(英語) — 外国人投資家向けSecurities Trading Code
  6. JETRO — ベトナム基礎情報 — 個人所得税・キャピタルゲイン・配当課税の枠組み
  7. 国税庁タックスアンサー No.1920 — 居住者・非居住者の判定
  8. 国税庁タックスアンサー No.1923 — 非居住者の課税範囲
  9. 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について — 無登録業者に関する注意喚起の枠組み

出典

  1. SSI Securities Corporation 公式トップ(英語) (2026年6月12日 取得)
  2. SSI Securities — Open Account Instruction(英語) (2026年6月12日 取得)
  3. SSI Securities — Service Fees Schedule for Primary Securities Trading Account (2026年6月12日 取得)
  4. Vietnam Securities Depository and Clearing Corporation(VSDC)公式(英語) (2026年6月12日 取得)
  5. JETRO — ベトナム基礎情報 (2026年6月12日 取得)
  6. 国税庁タックスアンサー No.1920 — 海外勤務者と所得税 (2026年6月12日 取得)
  7. 国税庁タックスアンサー No.1923 — 海外勤務者を含む非居住者の課税範囲 (2026年6月12日 取得)
  8. 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について (2026年6月12日 取得)