ベトナム在住の日本人がベトナム株を始めようとすると、現地の証券口座とあわせて、入出金や配当受取の窓口となる現地銀行口座が必要になります。代表的な選択肢の一つが、国営4大商業銀行の一角であるBIDV(Bank for Investment and Development of Vietnam)です。本記事では、ベトナム在住者がBIDVで投資用銀行口座を開設する大まかな流れを、公式情報の枠組みベースで整理します。本記事は特定の銀行・商品の利用を推奨するものではなく、口座開設手続きの理解を助ける情報提供を目的としています。
この記事の対象読者
本記事は、ベトナムに在住している日本人で、ベトナム株を取引するための現地銀行口座を準備したい方を主な対象としています。具体的には次のような方を想定しています。
- すでにベトナムで就労ビザ・居住許可を取得している日本人
- SSI証券などベトナムの証券会社で口座開設を検討しており、その入出金用に現地銀行口座が必要な方
- 「BIDVがどんな銀行で、何を準備すれば窓口に行けるのか」を一通り把握しておきたい方
日本在住の方(日本の居住者)の場合は、日本の証券会社(SBI証券・アイザワ証券など)経由でベトナム株を扱うルートが一般的で、現地銀行口座の必要性は本記事のケースとは異なります。本記事の手続きは、ベトナム現地居住をベースに進める内容です。
BIDV と投資用口座(IICA)の概要
BIDV(Joint Stock Commercial Bank for Investment and Development of Vietnam)は、ベトナム国内で長い歴史を持つ国営系の大手商業銀行の一つです。個人向けの預金口座、送金、カード、住宅ローンに加え、外国人投資家向けの口座サービスも提供しています(出典:BIDV 公式トップ(英語)、2026年6月時点)。
BIDV公式の英語サイトでは、外国人投資家向けの口座として「The Investor International Current Account(IICA)」と呼ばれる商品が案内されています(出典:BIDV — The Investor International Current Account、2026年6月時点)。これはベトナムで証券投資を行う外国人個人・法人が、外貨建てまたはベトナムドン建てで資金管理を行うことを想定した口座区分とされています。一般的な居住者向けの普通預金口座とは別建ての口座区分にあたります。
なお、本記事の取得時点では、IICA口座の具体的な必要書類、最低残高、手数料の詳細をBIDV公式英語ページから網羅的に取得することができませんでした。最新の正確な条件は、BIDV公式サイトの最新案内、または最寄りのBIDV支店窓口でご確認ください。
本記事は「BIDVを推奨する」ものではありません。Vietcombankなど他の大手銀行でも同様に外国人投資家向けの口座サービスがあり、利用する証券会社が指定する銀行や、ご自身の居住地・勤務地に近い支店アクセスを基準に複数行を比較検討してください。
なぜ投資用の銀行口座が必要か
ベトナムでは、外国人投資家が現地の証券取引を行う際、証券口座への入出金や、配当・売却代金の受け取り経路として、現地の銀行口座を持つ運用が一般的です。
たとえばSSI証券のiBoard Webでは、出金先などの銀行口座について「同一名義の銀行口座を最大3口座まで登録できる」運用が公式案内されています(出典:SSI Securities — Open Account Instruction、2026年6月時点)。証券会社から見ても、入出金経路として現地銀行口座が前提となっているケースが多いと言えます。
また、ベトナム証券保管・決済機関(VSDC)は、外国人投資家向けの証券取引コード(Securities Trading Code)について、ベトナム株を取引する外国人個人・機関投資家はVSDCに申請する必要があると整理しています(出典:VSDC公式英語サイト、2026年6月時点)。証券コード取得から取引開始までのフローは、証券会社と銀行を組み合わせて進めるのが実務的な形になります。
外国為替・送金のルール全般は、ベトナム国家銀行(SBV)が所管しています(出典:State Bank of Vietnam、2026年6月時点)。投資用口座の運用や外貨送金の細則は時期により変わりうるため、最新の制度はSBVおよび利用する銀行の案内でご確認ください。
必要書類(一般的な情報+詳細は窓口確認)
BIDVをはじめとするベトナムの大手銀行で、外国人居住者が口座を開設する際に一般的に求められる基礎情報は次のとおりです。実際に求められる書類の通数や原本/コピーの区分、ベトナム語訳の要否などは、銀行ごと・支店ごと・申込時期によって運用が異なります。
- 有効なパスポート
- ベトナムでの在留に関連する書類(ビザ、Temporary Residence Card、Work Permit など、居住状況に応じたもの)
- 連絡先となる現地の電話番号
- 入金原資(初回入金の現金または送金)
投資用の口座区分(IICAなど)を開設する場合は、上記に加えて、開設目的(証券投資)に関する申告書類や、利用予定の証券会社情報の提示を求められることがあります。
本記事の公式情報の範囲では、BIDV IICA口座の必要書類の正確な一覧、原本提示の要否、ベトナム語訳の要件などまでは特定できませんでした。窓口に行く前に、BIDVのカスタマーセンターまたは支店窓口に必要書類のチェックリストを直接確認することをおすすめします。ベトナム語に不安がある場合は、英語対応の可否や、通訳同行の可否も併せて確認しておくとスムーズです。
開設フロー
BIDVで投資用銀行口座を開設する大まかな流れを、公式情報と一般的な実務の枠組みで整理します。手続きの細部は時期や規制改正で変わり得るため、最終的には公式の最新案内に従ってください。
ステップ1:事前準備
このステップでは、窓口で必要となる本人確認書類と、申し込む口座区分の選択を整理します。
事前に準備しておくと手続きがスムーズな項目は次のとおりです。
- 有効なパスポート
- ベトナム在留に関する書類(ビザ、Temporary Residence Card、Work Permit など、居住状況に応じたもの)
- 連絡先となる現地の電話番号・メールアドレス
- 初回入金に充てる現金または送金原資
- 利用予定の証券会社(SSI証券、Sacombank Securities、VPS、VNDirect など)の情報
ベトナム株投資用に開設する場合は、口座区分として一般の普通預金口座ではなく、投資用口座(IICAなど)が必要になる可能性があります。どちらの口座区分が必要かは、利用予定の証券会社に「BIDVのどの口座区分を入出金登録に使えるか」を先に確認しておくと迷いません。
ステップ2:BIDV窓口への来店・申込み
BIDV公式サイトでは、口座開設は基本的に支店窓口での対面手続きが想定されています(出典:BIDV 公式トップ(英語)、2026年6月時点)。
支店窓口では、申込書(Account Opening Application Form)、本人確認書類、在留書類などを提出し、職員のヒアリングを受ける流れが一般的です。外国人居住者の手続きは、支店ごとに英語対応スタッフの常駐状況が異なるため、可能であれば事前に来店予約を取り、外国人の口座開設に慣れた支店を選ぶと安心です。
本記事の公式情報の範囲では、BIDVのどの支店が外国人投資家対応に強いか、来店予約の具体的な手順までは特定できませんでした。最新の窓口情報は、BIDV公式サイトの支店検索またはカスタマーセンターでご確認ください。
ステップ3:本人確認と口座区分の選択
このステップで、提出書類の確認と、申込む口座区分(普通預金口座/投資用口座など)の最終決定が行われます。
ベトナム株投資用の窓口として使う場合は、職員に「ベトナム株の証券口座への入出金・配当受取に使いたい」旨を明確に伝えると、必要な口座区分(IICAを含む投資用口座区分)に振り分けてもらえます。書類の不足があれば、ここで追加提出の指示が出ます。
本記事の出典範囲では、外国人居住者の本人確認の細部(追加で求められる宣誓書類の有無、生体認証の運用など)まで網羅できませんでした。具体的な手順は窓口の指示に従ってください。
ステップ4:初回入金と口座有効化
書類が受理されると、口座番号の発行と初回入金の手続きに進みます。
初回入金は現金または銀行間送金で行うのが一般的です。口座有効化後、インターネットバンキング(BIDV SmartBankingなど)の初期設定や、デビットカード発行の案内を受けるケースが多くなります。インターネットバンキングは、後日の証券会社への入金や、配当受取後の出金管理に使うため、初期設定までその場で済ませると効率的です。
ステップ5:証券会社への口座登録
銀行口座が有効化されたら、SSI証券などの証券会社に「入出金用銀行口座」として登録します。SSI証券のiBoard Webでは、同一名義の銀行口座を最大3口座まで登録できる運用が公式案内されています(出典:SSI Securities — Open Account Instruction、2026年6月時点)。
証券口座とBIDV口座の連携が完了すれば、証券会社のプラットフォーム経由で入金・出金が可能になります。
所要期間と費用の目安
口座開設に要する期間と費用は、来店する支店の混雑状況、提出書類の準備度合い、投資用口座区分か通常口座かなどによって変動します。
本記事の公式情報の範囲では、BIDV IICA口座の所要日数、最低残高、口座維持手数料、送金手数料などの具体的な数字を公式案内から特定することができませんでした。書類が一度で揃った場合の通常の所要日数や、ベトナム株向け口座の維持コストについては、BIDV公式サイトまたは支店窓口で直接ご確認ください。
参考までに、外国人投資家にも関わる代表的なベトナム側の税率の枠組みとして、JETROは個人所得税の取扱いを次のように整理しています(出典:JETRO — ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。
- 投資譲渡所得(証券譲渡益):取引額に対し0.1%
- 投資所得(配当):利益に対し5%
これらは銀行口座の手数料とは別に、ベトナム側で課される税金にあたります。税制は改正される可能性があり、個別の取扱いは現地の会計事務所やベトナム税務総局(GDT)の最新情報をご確認ください。
SSI 等の証券会社との連携
ベトナム株の取引フローは、ざっくり次のような関係になります。
| 役割 | 主体 | 担う機能 |
|---|---|---|
| 取引執行 | 証券会社(SSI、Sacombank Securities、VPS、VNDirect など) | 注文の取次・約定 |
| 保管・決済 | VSDC | 株式の保管、外国人投資家コード発行 |
| 資金フロー | 銀行(BIDV、Vietcombank など) | 入出金、配当受取、外貨送金 |
実務上は、証券口座の開設手続きの中で、BIDVなど現地銀行口座の登録欄が出てきます。証券会社側で「どの銀行のどの口座区分が登録可能か」が決まっているため、銀行口座を開く前に、利用予定の証券会社の登録要件を確認しておくと、後戻りが減ります。
SSI証券での口座開設手順の全体像は、本サイトの別記事「SSI証券で現地口座を開く方法」で詳しく整理しています。BIDVの銀行口座は、SSIなど証券会社の入出金窓口として活用するイメージです。
よくある質問
BIDV以外の銀行でも投資用口座は開けますか?
Vietcombankなどの他の国営系大手銀行でも、外国人投資家向けの口座サービスが提供されています。BIDVに限定する必要はなく、利用予定の証券会社が指定または対応している銀行、支店アクセスの良さ、英語対応の可否などを基準に比較検討してください。本サイトでは今後、他行についても順次整理していく予定です。
普通預金口座と投資用口座(IICA)はどちらを開けばよいですか?
ベトナム株の証券口座の入出金窓口として使う場合は、投資用口座区分が前提となるケースがあります。一方で、利用予定の証券会社や口座運用の方針により、求められる口座区分が異なる可能性があります。BIDVの窓口に行く前に、利用予定の証券会社に「BIDVのどの口座区分を入出金登録に使えるか」を確認しておくと迷いません。
必要書類や手数料の正確な情報はどこで確認できますか?
本記事は公式情報の枠組みで全体像を整理しましたが、外国人居住者の個別の必要書類、口座区分ごとの手数料、最低残高などは、規制や運用の変更で更新される可能性があります。最新かつ正確な情報は、BIDV公式サイトおよび最寄りのBIDV支店窓口で直接ご確認ください。
日本側の税務はどうなりますか?
日本の国税庁は、海外に居住する個人について、原則として国外在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかな場合を除いて非居住者と推定される旨を案内しています(出典:国税庁タックスアンサー No.1920、2026年6月時点)。ベトナム株取引にかかる日本側の取扱いは個別の事情で変わるため、税理士または所轄の税務署にご相談ください。
関連記事
- SSI証券で現地口座を開く方法
- (今後追加予定)Vietcombankで投資用銀行口座を開く方法
- (今後追加予定)ベトナム在住者の所得税の一般情報
ご注意
投資判断について
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容に基づき被ったいかなる損失についても、運営者は責任を負いかねます。
最新の制度・手数料・取引時間等は、必ず各社の公式サイトおよび関係当局の公式発表をご確認ください。
対象読者について
本記事はベトナム在住の日本人(日本における非居住者)を主な対象として執筆しています。日本在住の方(日本居住者)には、本記事で解説した手続きの一部が適用されない、または別の手続きが必要となる場合があります。ご自身の居住状況に応じた最新の取り扱いは、関係当局の公式情報をご確認ください。
口座開設手続きの最新性について
本記事に記載した必要書類・所要期間・手数料等は執筆時点(記事内の取得日参照)の情報です。証券会社・銀行の手続きは予告なく変更されることがあります。実際に手続きを進める前に、必ず以下をご確認ください。
- 該当証券会社・銀行の公式サイトの最新情報
- 在ベトナム日本国大使館または領事館の最新情報
- 必要に応じて現地の窓口・カスタマーサポート
出典
本文中で参照した一次情報の取得時点はいずれも2026年6月12日です。
- BIDV — Bank for Investment and Development of Vietnam 公式トップ(英語) — BIDVの会社概要・個人向けサービス構成
- BIDV — The Investor International Current Account(英語、案内ページ) — 外国人投資家向け口座区分(IICA)の案内
- State Bank of Vietnam(SBV)公式(英語) — 外為・送金規制の所管機関
- Vietnam Securities Depository and Clearing Corporation(VSDC)公式(英語) — 外国人投資家向けSecurities Trading Code
- SSI Securities — Open Account Instruction(英語) — 銀行口座登録の運用
- JETRO — ベトナム基礎情報 — 個人所得税・キャピタルゲイン・配当課税の枠組み
- 国税庁タックスアンサー No.1920 — 居住者・非居住者の判定
- 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について — 無登録業者に関する注意喚起の枠組み
出典
- BIDV — Bank for Investment and Development of Vietnam 公式トップ(英語)
- BIDV — The Investor International Current Account(英語、案内ページ)
- State Bank of Vietnam(SBV)公式(英語)
- Vietnam Securities Depository and Clearing Corporation(VSDC)公式(英語)
- SSI Securities — Open Account Instruction(英語)
- JETRO — ベトナム基礎情報
- 国税庁タックスアンサー No.1920 — 海外勤務者と所得税
- 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について