2026年9月28日、ベトナムの宝飾品大手フーニュアン宝飾(PNJ、HOSE上場)の株価がストップ安となり、30,700ドンで取引を終えました。9月25日に公表された2026年通期の大幅な赤字見通しが売りを誘い、大量の売り注文に買い手がつかない状況となりました。
株価ストップ安、大量の売り注文が積み上がる
28日のPNJ株は値幅制限の下限(ストップ安)まで下落し、30,700ドンで引けました。売り注文が約2,600万株積み上がったまま買い手がつかず、約定が成立しにくい状態が続きました。株価急落の引き金となったのは、2026年10月21日に予定される臨時株主総会に向けて9月25日に開示された2026年事業計画の修正案です。
過去最大級の赤字見通し、7兆ドン超の引当が主因
修正案でPNJは、2026年通期の税引後損益を6,271十億ドン(約6.3兆ドン)の赤字と予想しました。2026年4月時点の従来計画では3,409十億ドン(約3.4兆ドン)の黒字を見込んでおり、大幅な下方修正となります。税引前損失は6,059十億ドン(約6.1兆ドン)の見込みです。
赤字の主因は、過去に販売した商品の下取り・買い戻し方針に関連して計上する7,071十億ドン(約7.1兆ドン)の引当です。PNJはこの引当を除いた税引後利益は約800十億ドンの水準になるとの見通しも示しており、これは前年同期比で約72%減の水準にあたります。一連の問題は、宝石鑑定子会社P-Labの元幹部がダイヤモンドの密輸に関与したとされる事案に端を発しており、PNJは対応策としてAIGS(アジア宝石科学研究所)による独立鑑定を実施しています。「引当(引当金)」とは、将来発生が見込まれる費用や損失に備えてあらかじめ会計上計上する金額を指します。
無配方針と店舗網の縮小、最大8兆ドンの資金調達
修正案では、2026年の売上高目標も当初の48,660十億ドンから39,057十億ドン(当初計画の約80%)へ引き下げました。2026年は無配とする方針で、再建に向けて複数の手段により最大8,000十億ドン(約8兆ドン)の資金調達を計画しています。運転資金の確保として、創業家であるCao Thi Ngoc Dung会長の一族から700十億ドンを借り入れたことも開示されました。これは上限1,100十億ドンの与信枠のうち実行済みの分とされています。店舗網については、2026年に25〜30店舗を閉鎖する一方で約10店を新規出店し、年末までに純減15〜20店とする計画です。
経営陣の株式売却と今後の日程
会長の弟であるCao Ngoc Duy氏は、2026年10月1日から30日にかけて保有するPNJ株900万株を売却する旨を届け出ました。これにより同氏の保有比率は2.70%から0.94%に低下する見込みです。修正した事業計画と資金調達策は、2026年10月21日に開催予定の臨時株主総会で承認が付議されます。
なお、本記事の数値はPNJが公表した事業計画修正案および各報道に基づくもので、確定値は今後の正式な開示や決算で更新される可能性があります。