ベトナム株を始めるとき、最初に迷うポイントの一つが「現地の証券会社で口座を開くか、日本の証券会社経由で取引するか」という選択です。同じベトナム株を売買しても、ルートによって売買手数料・為替コスト・口座維持費・利便性が大きく変わります。本記事では、現地証券会社(SSI証券)と、日本経由(SBI証券・アイザワ証券)の手数料構造を、公式情報の枠組みベースで比較・整理しました。本記事はコスト構造の理解を助けることを目的としており、特定の証券会社の利用を推奨するものではありません。
比較対象の前提
本記事の比較は次の前提で整理しています。
- 対象商品:ベトナム上場株式の現物取引(ETF・債券・先物は含まない)
- 比較対象:現地証券会社の代表例としてSSI証券、日本経由の代表例としてSBI証券、アイザワ証券
- 取得時点:2026年6月時点の公開情報の枠組みベース
- 数値の出典:各社の公式手数料ページ、および本サイトの取得時点での確認内容
数値(手数料率・最低手数料・為替コスト)は時期や手数料改定で変動します。実際に取引を始める前に、必ず各社の最新の公式手数料案内でご確認ください。本記事は「2026年6月時点で公開情報から確認できた水準」をスナップショットとして整理したものです。
なお、現地証券会社を利用できるのは原則としてベトナム在住の方(日本における非居住者)が中心となり、日本経由の証券会社は日本居住者向けの取扱いが基本です。ご自身の居住状況によって、そもそも選択可能なルートが異なる点に注意してください。
比較表(2026年6月時点)
| 項目 | 現地証券会社(例:SSI証券) | 日本経由(例:SBI証券) | 日本経由(例:アイザワ証券) |
|---|---|---|---|
| 株式売買手数料の水準感 | 約定代金に対して概ね0.15〜0.30%程度の料率体系(出典:SSI公式手数料案内、2026年6月時点) | 約定代金に対して2%前後(おおむね2.0〜2.2%水準)(出典:SBI証券ベトナム株案内、2026年6月時点・最新の手数料率は公式サイトで要確認) | 約定代金に対して2%前後水準(公式サイトで要確認) |
| 最低手数料 | 公式サイトで要確認(小額注文ほど料率の体感負担が大きくなる傾向) | 円またはUSD建てで最低手数料が設定されているのが一般的(公式サイトで要確認) | 円またはUSD建てで最低手数料が設定されているのが一般的(公式サイトで要確認) |
| 取引通貨 | ベトナムドン(VND)建てで約定(HOSE公式) | 円またはUSDを介してVND建て約定にブリッジ(公式サイトで要確認) | 円またはUSDを介してVND建て約定にブリッジ(公式サイトで要確認) |
| 為替コスト | VND入金時の銀行送金スプレッド・送金手数料が中心 | 円⇄USD、USD⇄VND等の複数回の両替スプレッドが乗る構造になりやすい | 円⇄USD、USD⇄VND等の複数回の両替スプレッドが乗る構造になりやすい |
| 預り資産管理料・口座維持費 | 預り資産に対する保管手数料が課されることがある(出典:SSI公式手数料案内、2026年6月時点・水準は公式サイトで要確認) | 公式サイトで要確認 | 公式サイトで要確認 |
| 取扱銘柄数 | ベトナム上場株式の幅広い銘柄を取扱(HOSE公式) | 大型・流動性の高い銘柄を中心に絞り込まれているのが一般的(公式サイトで要確認) | 大型・流動性の高い銘柄を中心に絞り込まれているのが一般的(公式サイトで要確認) |
| 注文方法 | 現地証券会社のオンライントレーディング(iBoard等) | 日本語のウェブ取引画面または電話注文 | 日本語のウェブ取引画面または対面・電話 |
| 言語サポート | 英語・ベトナム語が基本 | 日本語 | 日本語 |
上表の手数料率の桁感は、現地ルートで0.数%水準、日本経由で2%前後水準というオーダーの違いを示すための整理であり、各社の最新の正確な数値は必ず各社公式の手数料案内でご確認ください。日本経由は売買手数料に加えて為替コストが上乗せされる構造になっており、表面の料率だけで比較すると実態を見誤るおそれがあります。
現地証券会社のコスト構造
現地証券会社(SSI証券などベトナム国内の証券会社)でベトナム株を取引する場合、コストは大きく次の要素に分かれます。
売買手数料
ベトナム現地の証券会社の株式売買手数料は、約定代金に対する一定率(パーセンテージ)で課される料率体系が一般的です。SSI証券の公式手数料案内では、リテール顧客向けの株式売買手数料の水準感が案内されています(出典:SSI Securities — Service Fees、2026年6月時点)。最低手数料の設定や、預り資産・取引量に応じた料率テーブルなどの細部については、最新の正確な数値はSSI公式の手数料ページで直接ご確認ください。
ベトナム現地の手数料水準は、ベトナム国内市場の競争の結果として、近年は低水準で推移してきた経緯があります。一方で、現地証券会社といっても各社で手数料体系が異なるため、SSI証券以外の現地証券会社を検討する場合も、各社公式の手数料案内を比較することをおすすめします。
預り資産管理料・取引付帯コスト
ベトナム現地の証券会社では、売買手数料とは別に、預り資産の保管手数料、入出金手数料、移管手数料などが個別に設定されている場合があります。これらは取引頻度や預り資産規模によって、トータルコストに無視できない影響を与えることがあります。
具体的な水準は公式手数料案内(SSI証券の場合はService Fees)でご確認ください。
入金・為替コスト
現地証券会社で取引する場合、入金は現地銀行口座(BIDV、Vietcombankなど)を経由します。日本円やUSDを現地銀行口座にVND建てで送金する際の、銀行送金手数料・為替スプレッドが実質的な為替コストになります。為替・送金規制はベトナム国家銀行(SBV)が所管しています(出典:SBV公式、2026年6月時点)。
ベトナム側の税金
外国人投資家にも関わるベトナム側の代表的な税率の枠組みとして、JETROは個人所得税の取扱いを次のように整理しています(出典:JETRO — ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。
- 投資譲渡所得(証券譲渡益):取引額に対し0.1%
- 投資所得(配当):利益に対し5%
これらは証券会社の売買手数料とは別に、ベトナム側で源泉徴収されるのが一般的です。税制は改正される可能性があり、個別の取扱いはベトナム税務総局(GDT)や現地会計事務所の最新情報をご確認ください。
日本経由のコスト構造
SBI証券・アイザワ証券など、日本の証券会社経由でベトナム株を取引する場合、コスト構造は現地ルートと異なる組み立てになります。
売買手数料
日本経由のベトナム株取引では、約定代金に対する料率の売買手数料が課され、その水準は現地ルートよりも高く設定されているのが一般的です。SBI証券のベトナム株取扱ページでは、約定代金に対する一定率の手数料体系と最低手数料が案内されています(出典:SBI証券ベトナム株案内、2026年6月時点・最新の正確な料率は公式サイトで要確認)。
日本経由の手数料が現地ルートより高い背景には、日本の証券会社が現地ブローカー・カストディアン・為替決済を中継するための追加コストがかかっている構造があります。「日本語でサポートを受けられる」「日本の特定口座/一般口座で日本側の確定申告に組み込みやすい」という利便性とトレードオフの関係にあります。
為替コスト(多重スプレッド)
日本経由でベトナム株を取引する場合、円⇄USD、USD⇄VND というように複数回の為替変換を経て約定するのが一般的です。各段階で為替スプレッドが乗るため、表面の売買手数料だけでなく、為替コストも含めた実質コストを意識する必要があります。
各社の為替手数料・スプレッドの水準は公式サイトで要確認です。特に売却して日本円に戻すときの逆方向の為替コストも合算して見ると、往復のトータルコストの全体像が把握できます。
取扱銘柄数の制約
日本経由の場合、現地市場で上場する全銘柄を取扱っているわけではなく、流動性や上場区分などの基準で取扱銘柄が絞り込まれているのが一般的です。具体的な取扱銘柄リストは、各証券会社の公式取扱銘柄ページでご確認ください。
日本側の税務
日本居住者が日本経由でベトナム株を取引する場合、譲渡益・配当は日本の所得税の対象となるのが原則です。一方で日本居住者でも外国所得については、二重課税調整等の論点があるため、個別の取扱いは税理士・所轄税務署にご相談ください。海外所在の業者が日本居住者に対して個別銘柄の投資助言・勧誘を業として行うことには金商法上の規制があります(出典:金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について、2026年6月時点)。
観点別の選び方
「現地ルートと日本経由のどちらが優れているか」を一律に断定することはできません。下記の観点で、ご自身の状況に当てはめて整理することが現実的です。
観点1:居住状況
そもそも選択可能なルートが居住状況で決まります。
- ベトナム在住(日本における非居住者):現地証券会社で口座を開設するルートが中心。日本の証券会社は非居住者になると新規取引や保有継続に制約が出ることがあります
- 日本在住(日本居住者):日本の証券会社経由でベトナム株を扱うルートが基本。現地証券会社は外国人向け口座開設の要件があり、日本からの開設が制約的なケースがあります
観点2:売買頻度と1回あたりの取引額
売買頻度が高く、1回あたりの取引額も大きい場合、料率の差が累積で大きく効いてきます。
- 売買頻度が高い/取引額が大きい:手数料率の差(現地0.数% vs 日本経由2%前後)が累積で大きく効くため、料率水準の差が選択判断に与えるインパクトが大きくなります
- 売買頻度が低い/長期保有が中心:料率差よりも、口座維持・保管に伴う固定費や、現地居住の負担と日本語サポートの利便性のトレードオフが選択判断に与えるインパクトが大きくなります
観点3:為替の取り回し
円・USD・VNDの間で資金を動かす回数が多いほど、多重スプレッドの累積負担が大きくなります。すでに現地に生活基盤がありVND建てでの収支がある方と、日本円の資産のみを保有している方では、為替コストの体感が変わります。
観点4:税務上の取り扱いと事務負担
日本居住者の場合、日本の証券会社経由で取引すれば、特定口座制度を活用した日本側の確定申告がしやすいという事務面のメリットがあります。一方、ベトナム在住者は日本における非居住者として、日本側ではなくベトナム側の税務が主軸になります。事務負担の軽さは料率の有利さと並んで重要な検討要素になります。
観点5:言語サポートと取扱銘柄の幅
日本語サポートを重視するか、取扱銘柄の幅(ベトナム上場の中小型株まで含めて選びたいか)を重視するかでも、選び方は変わります。
注意点
為替変動の影響
VND・USD・円のいずれを基準にするかで、同じ取引でも体感の損益が変わります。為替変動は手数料とは別の論点ですが、トータルリターンには大きく影響します。
預り資産管理料の累積
長期保有では、売買手数料が小さくても、保管手数料・口座維持費が長期間累積するとトータルコストに影響します。比較する際は、想定保有期間を踏まえて見るのが現実的です。
為替・送金規制
外国為替・送金のルール全般はベトナム国家銀行(SBV)が所管しており(出典:SBV公式、2026年6月時点)、運用は時期によって変わりうるため、最新の制度は公式情報でご確認ください。
数値の最新性
本記事の手数料水準は、2026年6月時点の公開情報の枠組みベースの整理です。手数料体系は改定されることがあり、特に最低手数料・上限手数料・為替スプレッド・無料キャンペーン等の細部は、各社公式手数料ページで最新の正確な数値をご確認ください。
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ご注意
投資判断について
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容に基づき被ったいかなる損失についても、運営者は責任を負いかねます。
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市場データの取得時点について
本記事に記載した指数・株価・出来高・手数料等の数値は、記事内に明記した取得時点のものです。市場データは日々変動するため、最新の数値は HOSE(ホーチミン証券取引所)、HNX(ハノイ証券取引所)等の公式情報、または利用中の証券会社の取引画面をご確認ください。
出典
本文中で参照した一次情報の取得時点はいずれも2026年6月12日です。
- SSI Securities — Service Fees(英語、手数料案内) — 現地証券会社の手数料体系
- SSI Securities — Open Account Instruction(英語) — 現地証券会社の口座開設要件
- SBI証券 — 外国株式(ベトナム株)取扱概要 — 日本経由ルートの取扱概要
- アイザワ証券 公式トップ — 日本経由ルートの取扱体系
- ホーチミン証券取引所(HOSE)公式 — ベトナム株式市場の基本情報
- JETRO — ベトナム基礎情報 — 個人所得税・配当課税の枠組み
- State Bank of Vietnam(SBV)公式(英語) — 外為・送金規制の所管機関
- 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について — 無登録業者に関する注意喚起の枠組み