税務

ベトナム在住の日本人の税務 — 非居住者の枠組みと一般論

ベトナムに住みながら投資を始めると、「日本と現地、どちらでどんな申告が必要なのか」が気になります。本記事は、ベトナム在住の日本人(多くの場合、日本における「非居住者」に該当する方)の税務について、公式情報の枠組みベースで一般論を整理したものです。個別のケースで申告が必要か、どの税率が適用されるかは、ご自身の在留状況・所得構成・滞在期間によって変わります。本記事は情報提供を目的としたものであり、税理士による個別判断の代わりにはなりません。実際の申告にあたっては、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

結論(このトピックの一般論)

ベトナム在住の日本人の税務は、おおまかに次のような構造で整理されます。あくまで一般論であり、個別の取扱いはケースによります。

  • 日本側では、要件を満たすと「非居住者」に区分され、日本国内源泉所得を中心に課税される枠組みになります(出典:国税庁タックスアンサー No.1920、2026年6月時点)。
  • ベトナム側では、滞在日数や居住要件に応じて「居住者(resident)」か「非居住者(non-resident)」に区分され、それぞれ個人所得税(PIT)の枠組みが適用されます(出典:JETRO ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。
  • ベトナム株などの投資収益は、ベトナム側で源泉徴収または申告の対象になる場合があり、日本側との二重課税の有無については日越租税条約の取扱いを含めて検討することが一般的です。

これらは出発点となる一般論であり、ご自身がどの区分にあたるかは、滞在日数、住居の状況、生計の中心がどちらにあるかなど複数の要素で判定されます。個別の判定と申告方針は、税理士・所轄の税務署・ベトナム現地の会計事務所などにご相談ください。

居住者・非居住者の区分(公式ベース)

日本側の区分(国税庁ベースの一般論)

日本の所得税法上は、住所の有無や日本国内に1年以上居所を有しているかなどの基準で「居住者」「非居住者」が判定されます。海外勤務などのために出国し、1年以上の予定で海外に住む場合は、原則として出国の時から「非居住者」に該当するものとして取り扱われる旨が、国税庁の一般的な案内で示されています(出典:国税庁タックスアンサー No.1920、2026年6月時点)。

ただし、実際の判定では次のような要素が総合的に考慮されます。

  • 日本国内に住所(生活の本拠)があるか
  • 日本国内に1年以上の居所があるか
  • 海外在留期間があらかじめ1年未満であることが明らかか
  • 職業・家族の生活状況・資産の所在等

「ベトナムに住んでいる=自動的に日本の非居住者」と単純に言い切れるわけではなく、上記の要素を踏まえた個別判定が必要です。詳しい判定基準と非居住者の課税範囲は、国税庁の国際税務関連のページ(国税庁 タックスアンサー国際関連トップ、2026年6月時点)や、税理士へのご相談でご確認ください。

ベトナム側の区分(GDT・JETRO ベースの一般論)

ベトナム側では、個人所得税(Personal Income Tax, PIT)の制度上、「居住者(tax resident)」と「非居住者(non-tax resident)」が区分されます。一般的に居住者に該当する判定要素として、JETRO の整理では次のような点が挙げられます(出典:JETRO ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。

  • 1年または12ヶ月の連続する期間で、一定日数以上ベトナムに滞在しているか
  • ベトナム国内に常用的な住居を有しているか
  • 賃貸契約等で一定期間以上の居住実態があるか

居住者と非居住者では、課税範囲や適用される税率テーブルが異なります。ベトナム側の最新の判定基準・税率は、ベトナム税務総局(GDT 公式、2026年6月時点)またはベトナム財務省(MoF 公式、2026年6月時点)の最新情報や、現地の会計事務所にご確認ください。

日本側の取扱い(一般論)

非居住者課税の枠組み

日本の所得税法上、非居住者に該当する個人は、原則として日本国内源泉所得が課税対象になります。給与所得、不動産所得、譲渡所得などの取扱いは所得区分ごとに細かく規定されており、源泉徴収の有無や申告の要否も区分ごとに整理されています(出典:国税庁タックスアンサー No.2517、2026年6月時点)。

「ベトナムに住んでいるから日本側は何もしなくてよい」とは限らず、たとえば日本国内に不動産があり賃貸収入を得ている場合や、日本企業から受け取る給与・役員報酬がある場合などは、日本側で源泉徴収または申告が必要になるケースがあります。一般的には、こうした個別判断は税理士・所轄の税務署にご相談いただくのが安全です。

国外株式の譲渡益・配当の取扱い(一般論)

非居住者がベトナム株などの国外株式の譲渡益・配当を受け取った場合、日本側での取扱いはケースバイケースです。日本国内に恒久的施設(PE)がない非居住者については、国外で生じる譲渡益・配当は日本側の課税対象にならない取扱いが一般的とされていますが、個別の事実関係(PE の有無、所得区分、株式の保管場所、取引経路など)で判断が分かれます。

具体的にご自身のケースで日本側の申告がどう必要になるかは、国税庁の最新情報(国際税務関連のページ、2026年6月時点)を参照したうえで、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

ベトナム側の取扱い(一般論)

個人所得税(PIT)の一般枠組み

ベトナムの個人所得税は、給与所得・事業所得・投資所得・譲渡所得・相続贈与所得など、所得の種類ごとに税率テーブルや源泉徴収の枠組みが定められています。居住者には累進税率、非居住者には一律税率が適用されるなど、区分ごとに取扱いが異なるのが一般的です(出典:JETRO ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。

最新の税率や控除の枠組みは改正されることがあるため、最終的にはベトナム税務総局(GDT 公式、2026年6月時点)、ベトナム財務省(MoF 公式、2026年6月時点)、または現地の会計事務所にご確認ください。

株式譲渡益・配当への課税の概要

JETRO の整理によれば、ベトナムの個人所得税では、証券譲渡益や配当に対しても所得区分ごとの税率が定められています(出典:JETRO ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。実際の取引では、証券会社・銀行側で源泉徴収が行われるケースが一般的です。

源泉徴収のみで申告が完結するケース、別途確定申告が必要なケース、損失通算の有無など、運用の細かい部分は規制改正の対象になりやすい領域です。実際の申告は、現地の会計事務所または GDT の最新案内をご確認のうえ進めることをおすすめします。

日越租税条約の概要(一般論)

日本とベトナムの間には、二重課税の調整と脱税防止を目的とする租税条約が締結されています。この条約は、配当・利子・使用料などの所得区分ごとに、源泉地国での課税上限税率や、居住地国での税額控除の枠組みを定めるのが一般的な構造です。

ご自身のケースで条約の適用を受けられるか、受けられる場合の具体的な手続き(受益者証明、居住者証明書の取得など)は、所得の種類、契約形態、支払者の所在地などによって変わります。条約の最新の本文と実務上の取扱いは、国税庁の租税条約関連の案内(国税庁 国際税務関連トップ、2026年6月時点)や、税理士へのご相談でご確認ください。

実務上の留意事項(一般論)

ベトナム在住で投資を行ううえで、税務面で押さえておきたい一般的な実務ポイントを整理します。いずれも一般論であり、個別の対応は専門家にご相談ください。

観点一般的な留意事項
記録保存取引履歴、約定報告書、配当通知書、源泉徴収票(現地・日本)等は、可能な限り原本またはダウンロードPDFで保存しておくことが一般的です
為替換算日本側で申告が必要になった場合、円換算が必要になります。換算レートの考え方は所得区分・取引日ごとに整理されており、税理士・国税庁の案内に従う運用が一般的です
二重課税の調整同一の所得に対し日越双方で課税が生じる場合、租税条約や外国税額控除の枠組みで調整される可能性があります。適用の可否は個別判定です
申告期限日本側・ベトナム側それぞれで申告期限が異なります。最新のスケジュールは各税務当局の案内でご確認ください
制度改正個人所得税の税率・控除・申告方法は改正されることがあります。直近の規制改正の有無は、申告前に公式情報でご確認ください

「ベトナム在住なら申告は気にしなくてよい」「ベトナム側で源泉徴収されたから日本側は何もしなくてよい」と一律に判断するのは避け、ご自身の所得構成と居住状況に応じた個別判定を行ってください。

専門家への相談ポイント

税務の個別判断は、税理士または各税務当局・現地会計事務所にご相談ください。相談前に整理しておくと話が早く進むポイントを挙げます。

  • ご自身のベトナム滞在開始日と、これまでの年内日本滞在日数の概算
  • 日本国内に維持している住所・不動産・家族構成・口座の状況
  • ベトナムでの就労形態(駐在員・現地採用・自営など)と居住許可の種類
  • 投資による所得の種類(給与、配当、譲渡益、利子など)と取引経路(現地証券会社・日本の証券会社・海外口座など)
  • 過去に日本側で出国届・非居住者扱いの手続きを行ったかどうか

相談先の候補としては、日本側は所轄の税務署または国際税務に詳しい税理士、ベトナム側は現地の会計事務所、在留邦人向けの一般情報は在ベトナム日本国大使館(在ベトナム日本国大使館 公式トップ、2026年6月時点)が参考になります。

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ご注意

投資判断について

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容に基づき被ったいかなる損失についても、運営者は責任を負いかねます。

最新の制度・手数料・取引時間等は、必ず各社の公式サイトおよび関係当局の公式発表をご確認ください。

税務上の取り扱いについて

本記事に記載した税務に関する情報は、執筆時点の一般的な情報であり、個別の税務上の取り扱いを保証するものではありません。実際の申告・納税については、税理士、所轄の税務署、国税庁の最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任でご判断ください。

ベトナム在住の方は日本における「非居住者」に該当する場合があり、日本と異なる課税関係になります。具体的な取り扱いは、ベトナム税務総局(GDT)および現地の会計事務所にもご確認いただくことをおすすめします。

対象読者について

本記事はベトナム在住の日本人(日本における非居住者)を主な対象として執筆しています。日本在住の方(日本居住者)には、本記事で解説した手続きの一部が適用されない、または別の手続きが必要となる場合があります。ご自身の居住状況に応じた最新の取り扱いは、関係当局の公式情報をご確認ください。

出典

本文中で参照した一次情報の取得時点はいずれも2026年6月12日です。

  1. 国税庁タックスアンサー No.2517 — 海外勤務者の所得税の取扱い — 非居住者課税の枠組みに関する一般情報
  2. 国税庁タックスアンサー No.1920 — 海外勤務者と所得税 — 居住者・非居住者の判定
  3. 国税庁 — 国際税務(タックスアンサー国際関連トップ) — 国際課税・租税条約関連の入口
  4. JETRO — ベトナム基礎情報(税制概要) — ベトナム個人所得税・投資所得課税の概要
  5. ベトナム税務総局(GDT)公式(英語) — ベトナム側税制の所管機関
  6. ベトナム財務省(MoF)公式(英語) — 税制改正の所管機関
  7. 在ベトナム日本国大使館 公式トップ — 在留邦人向け公的窓口
  8. 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について — 無登録業者に関する注意喚起の枠組み

出典

  1. 国税庁タックスアンサー No.2517 — 海外勤務者の所得税の取扱い(非居住者課税) (2026年6月12日 取得)
  2. 国税庁タックスアンサー No.1920 — 海外勤務者と所得税(居住者・非居住者の判定) (2026年6月12日 取得)
  3. 国税庁 — 国際税務(タックスアンサー国際関連トップ) (2026年6月12日 取得)
  4. JETRO — ベトナム基礎情報(税制概要) (2026年6月12日 取得)
  5. ベトナム税務総局(GDT)公式(英語) (2026年6月12日 取得)
  6. ベトナム財務省(MoF)公式(英語) (2026年6月12日 取得)
  7. 在ベトナム日本国大使館 公式トップ (2026年6月12日 取得)
  8. 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について (2026年6月12日 取得)