税務

日本居住者のベトナム株 — 確定申告と配当課税の一般論

日本に住みながらベトナム株に関心を持つと、まず気になるのが「日本の確定申告でどう扱うのか」「ベトナム側で源泉徴収された税はどうなるのか」という点です。本記事は、日本居住者がベトナム株に投資した場合の税務上の論点を、公式情報の枠組みベースで一般論として整理したものです。個別の申告要否や適用税率は、所得構成・取引経路・年内取引状況によって変わります。本記事は情報提供を目的としたものであり、税理士による個別判断の代わりにはなりません。実際の申告にあたっては、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

この記事の対象読者

次のような方を念頭に執筆しています。

  • 日本に住んでいて、ベトナム株を保有している方
  • これから日本の証券会社(SBI 証券・アイザワ証券など)または現地の証券会社経由でベトナム株を検討している方
  • 確定申告の枠組みや、外国で源泉徴収された税の取扱いを一般的に押さえておきたい方

なお、ベトナム在住の日本人(日本における非居住者)の方は、本記事ではなく ベトナム在住の日本人の税務 — 非居住者の枠組みと一般論 を参照してください。

結論(このトピックの一般論)

日本居住者がベトナム株に投資した場合の税務は、おおまかに次のような構造で整理されます。あくまで一般論であり、個別の取扱いはケースによります。

  • 日本居住者は、所得税法上、原則として全世界所得が課税対象とされています(出典:国税庁 国際税務関連トップ、2026年6月時点)。
  • ベトナム株から得た譲渡益や配当も、日本側で申告対象になる場合があります。
  • ベトナム側でも、現地税制上の源泉徴収が行われる場合があります。
  • 二重課税の調整については、日本側の外国税額控除や、日越租税条約の枠組みで整理されるのが一般的です(出典:財務省 租税条約等の一覧、2026年6月時点)。

これらは出発点となる一般論であり、個別のケースで何をどう申告するか、税額控除を受けられるかどうかは、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

日本居住者の税務枠組み(国税庁ベース・一般論)

全世界所得課税の建て付け

日本居住者は、所得税法上、国内で得た所得だけでなく、国外で得た所得についても原則として課税対象とされています。これは「全世界所得課税」と呼ばれる一般的な建て付けです。詳しい区分や課税範囲は、国税庁の国際税務関連のページ(国税庁 国際税務関連トップ、2026年6月時点)でご確認ください。

ベトナム株のように国外で得た譲渡益・配当も、日本居住者であれば、原則として日本側の申告対象になる枠組みです。「現地で完結する取引だから日本側は関係ない」という単純な整理にはなりません。

居住者・非居住者の区分

「日本居住者」かどうかの判定そのものが、まず実務上の論点になります。一般的には、日本国内に住所があるか、または1年以上の居所があるかなどの基準で居住者・非居住者が区分されます。長期出張・海外赴任・国際結婚などで生活実態が複数国にまたがるケースは、個別判定が必要です。

ご自身が「日本居住者」に該当するかどうかが微妙な場合は、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

譲渡益の取扱い(一般論)

申告分離課税の枠組み

上場株式の譲渡益は、日本の税制では一般に申告分離課税の対象とされ、所得税・住民税が課される枠組みになっています。ベトナム株が日本の税法上どの区分の「上場株式等」に当たるかは、保管経路(特定口座/一般口座/海外口座)や取扱証券会社によって整理が変わることがあります。具体的な区分と適用税率は、税理士または所轄の税務署にご確認ください。

取得価額・譲渡価額の為替換算

国外株式の譲渡益を日本側で申告する場合、取得価額・譲渡価額は円換算が必要になります。換算レート(取引日のレートを使うのか、月中平均・年間平均を使うのか等)の取扱いは、所得区分や運用実務によって整理されているのが一般的です。

実際にどのレートをどのタイミングで使うかは、国税庁の最新案内(国税庁 公式トップ、2026年6月時点)や税理士へのご相談でご確認ください。為替換算の取り扱いを誤ると、申告上の譲渡損益が大きく変わる場合があります。

「特定口座」での取扱い(一般論)

日本の証券会社経由でベトナム株を取引する場合、その取引が「特定口座」で処理できるかは、各証券会社の取扱区分によって異なります。

  • 日本の証券会社が国内取扱商品として整備しているベトナム株(または関連金融商品)の場合、特定口座(源泉徴収あり/なし)での処理が可能なケースがあります
  • 現地証券会社の海外口座で直接保有している場合、一般口座扱いとして自己申告するケースが一般的です

特定口座で源泉徴収ありを選んでいれば原則として確定申告不要となるケースもありますが、外国税額控除を受けようとする場合や他の所得との損益通算を行う場合は、別途申告が必要になることがあります。ご自身の口座区分と申告要否の組み合わせは、利用中の証券会社・税理士にご確認ください。

配当の取扱い(一般論)

ベトナム側の源泉徴収

ベトナム企業から支払われる配当については、ベトナム側の税制で源泉徴収が行われる場合があります。具体的な税率や課税の有無は、ベトナム個人所得税(PIT)の制度に基づいて整理されており、改正の対象になり得る領域です(出典:JETRO ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。最新の取扱いは、JETRO の制度概要やベトナム税務総局(GDT)の公式情報をご確認ください。

日本側の申告対象

日本居住者が外国法人から受け取る配当は、日本側でも原則として申告対象となる枠組みです。日本国内の証券会社経由で受け取る場合と、現地口座で直接受け取る場合とで、源泉徴収の有無や申告区分の整理が変わることがあります。

特に、現地で源泉徴収された後の手取り額をそのまま日本側の所得とするのか、源泉徴収前の総額を所得とするのかは、申告上の重要な論点です。ご自身のケースでの整理は、税理士にご確認ください。

二重課税の調整:外国税額控除(一般論)

同一の配当に対し、ベトナム側と日本側の双方で課税が生じる場合、二重課税を調整する枠組みとして、日本側で外国税額控除が用意されています(参考:国税庁タックスアンサー No.1648、2026年6月時点)。

ただし、外国税額控除を申請したからといって、外国で源泉徴収された税が常に全額還付されるわけではありません。控除限度額の計算や、対象となる外国税の範囲などが一般的に定められており、適用の可否と控除額はケースバイケースです。具体的な計算と申告書類の準備は、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

日越租税条約の概要(一般論)

日本とベトナムの間には、二重課税の調整と脱税防止を目的とする租税条約が締結されています。条約の本文や対象所得は、財務省の租税条約一覧(財務省 我が国の租税条約等の一覧、2026年6月時点)でご確認いただけます。

一般的な租税条約は、配当・利子・使用料といった所得区分ごとに、源泉地国での課税上限税率や、居住地国側での税額控除の枠組みを定める構造です。具体的にご自身のケースで条約上の限度税率を適用できるか、どのような手続き(居住者証明書の取得など)が必要かは、所得の種類・支払者の所在地・契約形態によって変わります。最新の条約上の取扱いは、国税庁の国際税務関連のページ(国税庁 国際税務関連トップ、2026年6月時点)や税理士へのご相談でご確認ください。

なお、本記事執筆時点で確認できる具体的な限度税率や条約の改定状況については、上記の財務省・国税庁の公式情報を必ずご参照ください。

確定申告の実務(一般論)

申告書類の例

ベトナム株の譲渡益・配当を日本側で申告する場合、一般的に次のような資料が必要になります。実際の必須書類は申告区分によって異なります。

区分一般的に必要となる資料の例
取引記録年間取引報告書、約定報告書、配当通知書、入出金履歴など
為替関連取引日の為替レート資料(公的レート参照を含む)
外国税額関連ベトナム側で源泉徴収された証憑、外国所得税を証明する書類
申告書類確定申告書(分離課税用付表、外国税額控除関連書類など)

具体的にどの書類が必須になるかは、所得区分・取引経路・利用中の証券会社によって異なります。最新の様式と必要書類は、国税庁の最新情報(国税庁 公式トップ、2026年6月時点)と税理士・所轄の税務署へのご相談でご確認ください。

為替レートの取扱い

申告上の円換算で用いるレートは、取引日のレート、月中平均、年間平均など、所得区分や運用実務によって整理されています。どのレートを使うかは申告結果に影響するため、自己流の換算は避け、税理士や国税庁の案内に従う運用が一般的です。

申告期限

個人の所得税の確定申告は、一般的に毎年2月16日から3月15日までの期間に行われています。年度や曜日の関係で期限が変動する場合があるため、最新の期間は、国税庁の最新案内(国税庁 公式トップ、2026年6月時点)でご確認ください。

日本の証券会社経由の場合の特徴(一般論)

日本の証券会社(例:SBI 証券・アイザワ証券など)経由でベトナム株関連の取引を行う場合、一般的に次のような特徴があります。各社の取扱内容は変更されることがあるため、最新の取扱区分は各社の公式サイトをご確認ください。

  • 取扱区分によっては、特定口座(源泉徴収あり/なし)での処理が可能なケースがあります
  • 年間取引報告書が国内様式で発行されるため、申告書類の準備が比較的容易なケースがあります
  • 一方で、現地直接取引と比較した場合、取扱銘柄や手数料体系が異なる場合があります

特定口座で源泉徴収ありを選択しているからといって、すべての所得について確定申告が不要になるとは限りません。外国税額控除の適用を受ける場合、損益通算を行う場合、他の所得との合算が必要な場合などは、別途申告が必要となるケースがあります。ご自身のケースでの申告要否は、税理士または所轄の税務署にご相談ください。

日本国内で営業する証券会社の利用にあたっては、登録金融商品取引業者かどうかも確認しておくと安心です(参考:金融庁 無登録業者に関する注意喚起、2026年6月時点)。

関連情報として、日本の証券会社の比較や手数料の整理は、SBI 証券とアイザワ証券のベトナム株比較ベトナム株 — 手数料の比較 を参考にしてください。

現地証券会社経由の場合の留意点(一般論)

ベトナムの現地証券会社(SSI、Sacombank Securities など)に口座を開いて直接取引している場合、申告上の特徴として一般的に次の点が挙げられます。

  • 国内特定口座のような自動的な源泉徴収・年間集計の仕組みは適用されないことが多く、原則として自己申告ベースになります
  • 取引記録・配当通知・現地での源泉徴収証憑などは、自己責任で保管・円換算する必要があります
  • 為替換算や所得区分の整理について、日本側でどう申告するかの判断は税理士のサポートを得るのが一般的です

なお、現地証券会社の利用は、ベトナム在住者を主な対象とするケースが多く、日本居住のまま現地口座を開設・運用する場合の取扱いは各証券会社の方針によって異なります。ベトナム市場や口座の全体像については ベトナム株とは — 制度・市場・始め方の概要 でも整理しています。

専門家への相談ポイント

税務の個別判断は、税理士または各税務当局にご相談ください。相談前に整理しておくと話が早く進むポイントを挙げます。

  • ご自身の居住区分(日本居住者として確定しているか、海外勤務などで判定が微妙でないか)
  • 取引経路(日本の証券会社経由か、現地証券会社の海外口座か)
  • 口座区分(特定口座・一般口座・海外口座のいずれか)
  • 年内の取引内容(譲渡益・損失・配当・現地での源泉徴収の有無と金額)
  • 他の所得(給与・事業所得・他の金融商品の損益など)との合算予定の有無
  • 外国税額控除を申請する意向の有無

相談先の候補として、税理士、所轄の税務署、国税庁の電話相談センターなどが一般的に挙げられます。最新の連絡先や相談窓口は、国税庁の公式情報(国税庁 公式トップ、2026年6月時点)でご確認ください。

関連記事


ご注意

投資判断について

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容に基づき被ったいかなる損失についても、運営者は責任を負いかねます。

最新の制度・手数料・取引時間等は、必ず各社の公式サイトおよび関係当局の公式発表をご確認ください。

税務上の取り扱いについて

本記事に記載した税務に関する情報は、執筆時点の一般的な情報であり、個別の税務上の取り扱いを保証するものではありません。実際の申告・納税については、税理士、所轄の税務署、国税庁の最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任でご判断ください。

ベトナム在住の方は日本における「非居住者」に該当する場合があり、日本と異なる課税関係になります。具体的な取り扱いは、ベトナム税務総局(GDT)および現地の会計事務所にもご確認いただくことをおすすめします。

出典

本文中で参照した一次情報の取得時点はいずれも2026年6月15日です。

  1. 国税庁タックスアンサー No.2517 — 海外勤務者の所得税の取扱い — 居住者・非居住者の区分に関する参考リンク
  2. 国税庁タックスアンサー No.1648 — 外国税額控除 — 外国税額控除の制度概要(参考リンク)
  3. 国税庁 — 国際税務(タックスアンサー国際関連トップ) — 国際課税・租税条約関連の入口
  4. 国税庁 公式トップ — 申告期限・最新情報の確認窓口
  5. 財務省 — 我が国の租税条約等の一覧 — 日越租税条約を含む条約一覧
  6. JETRO — ベトナム基礎情報(税制概要) — ベトナム個人所得税の制度概要
  7. 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について — 無登録業者に関する注意喚起の枠組み

出典

  1. 国税庁タックスアンサー No.2517 — 海外勤務者の所得税の取扱い(参考リンク) (2026年6月15日 取得)
  2. 国税庁タックスアンサー No.1648 — 外国税額控除(参考リンク) (2026年6月15日 取得)
  3. 国税庁 — 国際税務(タックスアンサー国際関連トップ) (2026年6月15日 取得)
  4. 国税庁 公式トップ (2026年6月15日 取得)
  5. 財務省 — 我が国の租税条約等の一覧 (2026年6月15日 取得)
  6. JETRO — ベトナム基礎情報(税制概要) (2026年6月15日 取得)
  7. 金融庁 — 無登録で金融商品取引業を行う者の名称等について (2026年6月15日 取得)