「ベトナム株に興味はあるけれど、何から押さえれば良いのか分からない」——本記事は、そんな方に向けてベトナム株の基礎を整理するガイドです。市場規模、代表指数(VN-Index、VN30)、3つの市場区分、主要セクター、日本から投資するルート、そしてメリットとリスクまで、公式情報の枠組みに沿って淡々と並べます。特定銘柄の売買判断や指数の値動き予測は扱いません。
結論
ベトナム株は、新興国(フロンティア/エマージング)に位置付けられるベトナムの上場株式市場を指し、HOSE・HNX・UPCoMの3つの公的市場で取引されます。代表指数はHOSE算出のVN-Index(全銘柄時価総額加重)とVN30(主力30銘柄)で、市場全体の動きを把握する出発点になります。投資ルートは「現地証券会社で口座を開く」か「日本の証券会社(SBI、アイザワ等)経由で買う」かの2系統が中心です。新興国らしい高い成長期待がある一方、過去には2022年にVN-Indexが約40%下落するなど大きなボラティリティも経験しており、メリットとリスクを両面で見ることが重要です。
ベトナム株式市場の規模と特徴
ベトナムは、東南アジアの中でも高い経済成長率が継続している国として知られています。JETRO「ベトナム基礎情報」によれば、ベトナムは新興国市場の一角として、外資による直接投資(FDI)や輸出型製造業の集積が進んでいる経済圏と整理されています(出典:JETRO — ベトナム基礎情報、2026年6月時点)。経済成長率は時期により変動しますが、ASEANの主要国の中でも相対的に高めの実質GDP成長率を維持してきた経緯があります。
株式市場の側面では、ベトナムは長らくグローバル指数プロバイダー(FTSE Russell、MSCIなど)の市場分類において「フロンティアマーケット」に位置付けられてきました。新興国(エマージング)への引き上げ議論については時期により進展状況が変わるため、本記事では具体的なステータスや時期については触れません。最新の分類状況は各指数プロバイダーの公式発表をご確認ください。
一方で、市場の値動きは穏やかではありません。ベトナム株式市場全体を代表するVN-Indexは、2022年に年間で約40%下落したと一般に整理されています(出典:HOSE 公式、2026年6月時点)。これは、世界的な金利上昇局面と国内の証券市場での規制対応が重なった年であり、新興国市場特有のボラティリティの大きさを示す参照点として知っておくとよい事実です。
VN-Index と VN30
ベトナム株を見る際に、最初に押さえたい代表指数がVN-IndexとVN30です。
VN-Index — 市場全体を映す代表指数
VN-Indexは、HOSE(ホーチミン証券取引所)に上場する全銘柄を対象とした時価総額加重平均指数で、ベトナム株式市場全体を代表する最も知名度の高い指数です(出典:HOSE 公式、2026年6月時点)。海外メディアや一般的な経済ニュースで「ベトナム株が〇%上昇/下落」と報じられる際の参照指数は、多くの場合このVN-Indexです。
VN-Indexは1998〜2000年頃を基準時点とする伝統的な構成で算出されており、HOSE上場銘柄全体の動きを反映します。本記事ではVN-Indexの具体的な水準や今後の見通しには触れません。最新の指数水準はHOSE公式または利用中の証券会社の取引画面でご確認ください。
VN30 — 主力大型株のベンチマーク
VN30は、HOSE上場銘柄のうち、時価総額・流動性などの基準で選ばれた代表的な30銘柄を構成銘柄とする指数です(出典:HOSE 公式、2026年6月時点)。ベトナムの主力大型株のパフォーマンスを把握するベンチマークとして参照されます。
VN30は、VN30指数連動のETFや、HNXで取引されるVN30先物(株価指数先物)のベースとなるなど、デリバティブ市場とも結びついた指数です。本記事ではVN30の特定構成銘柄の評価や売買判断は扱いません。
市場区分の概要
ベトナムには、2つの証券取引所と1つの集中取引市場の合計3つの公的な株式取引市場があります。同じ「ベトナム上場株」でも、どの市場に上場しているかで規模感や流動性、上場基準が異なります。
- HOSE(ホーチミン証券取引所) — 時価総額・流動性とも最大。大型主要銘柄が中心で、VN-Index・VN30の算出主体
- HNX(ハノイ証券取引所) — 中小型銘柄が中心。債券市場とUPCoM市場の運営も担う
- UPCoM(Unlisted Public Company Market) — 正式上場前の準備段階企業や、上場基準を満たさない公開企業株の集中取引市場。HNXが運営
3市場の違い、各市場の代表指数、外国人投資家にとっての論点(外国人保有比率の制限、Securities Trading Codeなど)については、別記事で詳しく整理しています。
→ 詳細:HOSE・HNX・UPCoMとは — ベトナム3市場の違いと特徴
主要セクター
ベトナムの上場市場のセクター構成は、新興国らしく金融・不動産・素材・消費財・製造業などの基幹産業が中心となる構造が一般的に整理されています。主要セクターの例は次のとおりです。
- 銀行・金融 — 国内銀行株はVN30の構成銘柄でも大きな比重を占める代表的セクター
- 不動産・建設 — 都市部の住宅開発やインフラ整備を背景に上場社数が多いセクター
- 消費財・小売 — 国内の中間所得層拡大を背景とする内需関連
- 素材・鉄鋼 — 製造業・建設需要に連動するセクター
- 食品・飲料 — 国民的ブランドを持つ企業が上場している伝統的セクター
特定セクター・特定銘柄の投資妙味については、本記事では評価しません。最新の各銘柄の業種分類はHOSE・HNX公式または利用中の証券会社の銘柄情報画面でご確認ください。
ベトナム株への投資ルート
日本人がベトナム株に投資する場合、大きく分けて2つのルートがあります。
ルート1: 現地証券会社で口座を開く
ベトナム現地の証券会社(SSI、Sacombank Securities、VPS Securities、VNDirectなど)に直接口座を開き、現地通貨建てで取引するルートです。一般的にこのルートは現地手数料が低めで、HOSE・HNX・UPCoMいずれの上場銘柄も取引しやすい一方、口座開設には本人確認書類・居住証明・投資用銀行口座(BIDV等)の併設など、複数のステップが必要となります。
このルートは主にベトナム在住者(日本における非居住者)が選びやすい形態ですが、具体的な開設条件は各社の運用や規制改正により変わるため、最新の要件は各社公式サイトでご確認ください。
→ 関連:SSI証券で現地口座を開く方法 → 関連:BIDV銀行口座の開設方法 — ベトナム株投資用
ルート2: 日本の証券会社経由で買う
日本在住者の場合、SBI証券やアイザワ証券など、日本の証券会社が取扱うベトナム株サービスを利用するルートが一般的です。日本円から円建てで発注できる利便性がある一方、取扱銘柄が現地で取引可能な全銘柄より絞られていたり、手数料率が現地直接取引より高めに設定されている傾向があります。
具体的な取扱銘柄数や手数料率は各社の公式情報でご確認ください。日本居住者・非居住者の区分により口座開設可否が変わる場合がある点にもご注意ください。
→ 関連:ベトナム株の手数料比較 — 現地口座と日本経由の違い
メリット・リスクを正直に
ベトナム株への投資を検討するうえで、メリットとリスクの両面を冷静に整理しておくことが大切です。「上がる」「下がる」といった予測ではなく、新興国株式市場としての一般的な特性として把握しておきます。
メリット(一般論)
- 高い経済成長率の継続 — ベトナムはASEAN主要国の中でも相対的に高い実質GDP成長率を維持してきた経緯があり、内需・輸出の両面で成長余地が見込まれている経済圏として一般に整理されている
- 現地手数料が低水準 — 現地口座経由の取引では、手数料率が日本の証券会社経由より低めとなる傾向がある(具体的な水準は各社公式情報で要確認)
- 市場規模の拡大余地 — 新興国・フロンティア市場として、指数プロバイダーの分類見直しが進めば、グローバルマネーの流入余地が論点となりうる
リスク(一般論)
- 流動性リスク — HNX中小型銘柄やUPCoM銘柄では、出来高が薄く約定が困難な場面、スプレッドが広がる場面が生じやすい
- 為替リスク — ベトナムドン(VND)建ての投資は、対円・対米ドルでの為替変動の影響を受ける。長期的なVNDの動向は新興国通貨特有の振れを伴う
- 政治・規制リスク — 規制改正、外国人保有上限の変更、市場運用ルールの改定など、新興国市場では制度面の変化が相対的に頻繁
- ボラティリティ — 前述のとおり、VN-Indexは2022年に年間で約40%下落したとされる事実があり、新興国市場特有の値幅の大きさは念頭に置く必要がある(出典:HOSE 公式、2026年6月時点)
- 情報の非対称性 — 日本語での一次情報・銘柄情報が日米欧株に比べると少なく、自力で英語・ベトナム語の情報源に当たる場面が多くなる傾向
メリットとリスクは表裏一体です。「成長余地が大きい市場 = ボラティリティも大きい市場」という前提で、投資金額の規模やポートフォリオ内の位置付けをご自身で判断する必要があります。
始める前に知っておくべき論点
最後に、口座開設や売買に進む前に確認しておきたい実務上の論点を整理します。
居住者・非居住者の区分
ベトナム株への投資ルートや税務上の取り扱いは、ご自身が「日本居住者」か「日本非居住者(ベトナム在住者など)」かで大きく異なります。
- 日本居住者は、基本的に日本の証券会社経由でベトナム株を取引するルートが現実的
- ベトナム在住者(日本非居住者)は、日本の証券会社の多くが利用できなくなる代わりに、現地証券会社で直接口座を開く選択肢が中心になる
居住者・非居住者の区分は、税法上は滞在日数・生活の本拠などで判定され、個別事情によって取り扱いが変わります。詳細は税理士や所轄の税務署にご相談ください。
税金・手数料
ベトナム株の売買に関わる税金・手数料は、現地のキャピタルゲイン課税・配当課税、現地証券会社の取引手数料、日本側での申告義務などが論点になります。本記事では具体的な税率・手数料率は扱いません。
- 現地(ベトナム)側の税制:ベトナム税務総局(GDT)および現地会計事務所にご確認ください
- 日本側の税制:日本国税庁タックスアンサーおよび税理士にご確認ください
- 各社の手数料:各証券会社公式サイトの最新情報
関連記事への誘導
ベトナム株の基礎を押さえたら、次は具体的な市場区分、口座開設手順、手数料比較に進むのがおすすめです。
関連記事
- HOSE・HNX・UPCoMとは — ベトナム3市場の違いと特徴
- SSI証券で現地口座を開く方法
- BIDV銀行口座の開設方法 — ベトナム株投資用
- ベトナム株の手数料比較 — 現地口座と日本経由の違い
- ベトナム株の発注の流れ — 取引時間と注文の基本
- ベトナム在住者の確定申告 — 日越税務の基礎
ご注意
投資判断について
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄・金融商品の売買を推奨・勧誘するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。本記事の内容に基づき被ったいかなる損失についても、運営者は責任を負いかねます。
最新の制度・手数料・取引時間等は、必ず各社の公式サイトおよび関係当局の公式発表をご確認ください。
市場データの取得時点について
本記事に記載した指数・株価・出来高・手数料等の数値は、記事内に明記した取得時点のものです。市場データは日々変動するため、最新の数値は HOSE(ホーチミン証券取引所)、HNX(ハノイ証券取引所)等の公式情報、または利用中の証券会社の取引画面をご確認ください。
出典
本文中で参照した一次情報の取得時点はいずれも2026年6月12日です。
- Ho Chi Minh Stock Exchange(HOSE)公式 — HOSEの市場運営・上場銘柄・指数算出主体
- Hanoi Stock Exchange(HNX)公式(英語) — HNXの市場運営、UPCoM運営、債券市場運営
- State Securities Commission of Vietnam(SSC)公式 — ベトナム証券市場の監督官庁
- Vietnam Securities Depository and Clearing Corporation(VSDC)公式(英語) — 外国人投資家向けSecurities Trading Code
- JETRO — ベトナム基礎情報 — ベトナム経済・市場の基礎情報